和装での過ごし方 着崩れるポイント・注意事項

普段なかなか着る機会のないお着物。大切な一日をできるだけ心地よく過ごすためにも、和装ならではの動き方や、着崩れしやすい場面をあらかじめ知っておくと安心です。

着物は、どれほどきれいに着付けても、長時間着用して歩いたり座ったりするうちに、少しずつ着崩れていくものです。
普段から和装に慣れている方は、崩れやすい部分を知り、その都度さりげなく整えながら過ごしています。

とはいえ、お祝いの一日を、着姿のことばかり気にしながら過ごすのは難しいものです。
すべての動きを気にする必要はありませんが、少し意識することで、大きな着崩れを防ぎやすくなります。

LIFESNAPの着付け師監修のもと、当日に知っておきたいポイントをご案内いたします。


【知識編】着崩れはなぜ起きるのか


 □ 1. 着崩れが起きやすい原因


まず大前提として、和装は洋装と同じようには動けません。

着物は、帯や紐で形を整えながら着付けをしているため、洋服のように伸縮したり、体の動きに合わせて自由に動いたりできるものではありません。

そのため、大きく足を開く、走る、勢いよくしゃがむ、袖や裾を引っぱる、長時間抱っこをするといった動きが続くと、少しずつ着崩れにつながることがあります。

歩幅を少し小さくする、座るときはゆっくり腰を下ろす、袖や裾を踏まないようにする、移動中はお子様の手を引いてあげるなど、立ち居振る舞いを少し意識することで、大きな着崩れを抑えやすくなります。

七五三やお宮参りなどでは、お子様を抱っこしたり、長時間着物を着用したりする場面も多くあります。
お子様のご機嫌や当日の流れを優先しながら、できる場面で少しだけ動き方を意識してみてください。


【パターン編】着物の種類別・起きやすい着崩れ


 □ 2. お子様の着物(七五三)


七五三の年齢は、まだ体つきがしっかりしていません。慣れない着物で過ごしたり、元気よく動き回ることで、着崩れが起きやすくなります。

・3歳の被布について>>
被布は体型に合ったサイズが重要です。着物の丈はおはしょりで調整するのではなく、腰上げであらかじめ縫い上げて調整しています。サイズが合っていないと着物が安定しにくく、肩部分がずれて前がはだけてきやすくなります。

・7歳の着物について>>
特に着崩れが起きやすいのが帯・帯揚げ・しごきの下がりです。歩いたり走ったり、しゃがんだりするうちに少しずつ位置が下がってきます。作り帯をご使用の場合は、背中側の飾り部分が傾いたり、位置が下がることもあるため、撮影前に後ろ姿も合わせてご確認ください。

・5歳の袴について>>
まだ腰がしっかりと安定していない体つきのため、角帯で固定していても袴が下がりやすい傾向があります。裾を踏んでしまうと袴全体が引っ張られて下がることもあります。袴が下がってくると衿元も開きやすくなるため、袴の位置と衿元はセットでご確認ください。

*7歳・5歳の小物について>>

七五三のお着物には、扇子(末広)や筥迫(はこせこ)、懐剣(かいけん)などの小物があります。
小物類は、移動中に落ちてしまったり、差し込む位置によって着崩れにつながったりすることがあります。
そのため、撮影の直前にあらためて位置を確認し、整えてから撮影に入ると安心です。

・7歳の小物
①扇子(末広)は、房紐を巻き付け、根元を下にして帯締めの左側(心臟側)に差し込みます。向かい合わせで右側に見える位置です。
②筥迫(はこせこ)は、飾り房やビラカンが見えるように、胸元に差し込みます。
におい袋は、落下防止のため帯の中に入れ込むこともありますが、かわいらしい小物ですので、あえて見えるように出してもOKです。

・5歳の小物
①懐剣(かいけん)は、紐を巻き付け、袴の左側(心臟側)に差し込みます。向かい合わせで右側に見える位置です。
②扇子(末広)は、根元を下にして、懐剣の内側に差し込みます。写真を見る側からは、懐剣の左隣に見える位置です。

撮影時には、着付けてくださった方の整え方を基本にしながら、見え方やバランスを確認して整えるとよいでしょう。


 □ 3. 母・祖母の訪問着(七五三・お宮参り)


七五三やお宮参りでは、お子様や赤ちゃんを抱っこしたり、しゃがんだり、長時間立ったり座ったりする場面が多く、訪問着も着崩れが起きやすくなります。

特に起きやすいのが帯の下がりです。抱っこや前かがみの動きで、帯が少しずつ下がってきます。撮影前に帯の位置と後ろ姿をご確認ください。

おはしょりが伸びてくると裾が下がり、着物全体のバランスが崩れやすくなります。裾が長くなると踏んでしまう原因にもなるため、こまめに確認していただくとよいでしょう。


 □ 4. 父・祖父の着流し・袴(七五三・お宮参り)


着流しは帯まわりが動きやすく、抱っこや前かがみの動作で帯が少しずつ緩んで下がってきます。衿元も開いてきやすいため、撮影前に帯の位置と衿元をご確認ください。

袴の場合は裾が長いため、踏んでしまうと袴全体が引っ張られて下がってきます。座るときも袴が引っ張られて崩れることがあるため、腰を下ろす際は袴の両脇から手を入れて少し持ち上げながら座るとよいでしょう。


 □ 5. 振袖(成人式)


成人式の撮影では、お母様の振袖をお召しになるママ振りのお客様も多くいらっしゃいます。お母様の体型に合わせて仕立てられた振袖のため、着付けの際に体型の違いを補整しますが、動きによって帯やおはしょりが緩んで下がってきやすい場合があります。

特に気になりやすいのが衿元です。振袖は半襟や重ね衿など複数の衿を重ねることも多く、動いているうちに衿元が浮いてきやすくなります。
また、袖が長いため、座るときや段差で袖を踏まないよう気をつけましょう。

撮影前に衿元・帯まわり・おはしょり・袖の位置をご確認いただくと、よりきれいな状態でお写真に残しやすくなります。


【注意編】シーン別の過ごし方


 □ 6. 抱っこするときの注意点(お宮参り)


お宮参りでは、訪問着を着用したまま赤ちゃんを抱っこする場面が多くあります。抱っこの前に袖と裾の位置を確認しましょう。袖や裾を踏んでしまうと、着崩れや転倒につながることがあります。

赤ちゃんを抱き上げる際は、帯まわりを強く押さえすぎないようにしましょう。帯の位置がずれる原因になります。

お祝い着や袖で赤ちゃんのお顔が隠れていないかもあわせてご確認ください。

抱っこのあとは衿元・前合わせが乱れやすくなります。撮影前に鏡で全体をチェックしていただくと安心です。


 □ 7. 基本の歩き方


洋服のときと同じように大股で歩いたり、急ぎ足になったりすると着崩れの原因になります。歩幅を小さめにして、ゆったりとした動作を心がけていただくと着姿が美しく保てます。裾を踏まないよう、足元にも注意しながら歩きましょう。


 □ 8. 車・タクシーでの移動


車の乗り降りの際に裾を踏んだり、シートベルトが帯に当たったりと、着崩れの原因になりやすいシーンのひとつです。

お子様の移動には、チャイルドシートやジュニアシートの着用が必要ですが、着物のままでは帯や裾が崩れやすくなります。可能であれば、タクシーでの移動がおすすめです。タクシーはチャイルドシートの着用が免除されるため、お子様の着崩れを最小限に抑えることができます。

どうしても車での移動が必要な場合は、チャイルドシートに乗せる前に裾を腰の位置で軽くまくり上げておくと、シワや着崩れを抑えやすくなります。降りる際は裾を元通りに整えましょう。

大人の方はシートベルトが帯に直接当たらないよう、帯の少し下あたりで通すと帯への負担を減らせます。背もたれに深くもたれかかると帯が崩れやすくなるため、浅めに腰掛けるようにしましょう。

※お宮参りの赤ちゃんのお祝い着は、移動中は外して持参し、神社や撮影場所に到着してから着せていただくと、きれいな状態でご祈祷や撮影に臨めます。


 □ 9. 椅子に座るとき


深く腰掛けて背もたれに寄りかかると、帯がつぶれたり崩れたりする原因になります。なるべく浅めに腰掛けて、背筋を伸ばした姿勢を意識していただくと、着姿も美しく見えます。

座る際に勢いよく腰を下ろすと袴や裾が引っ張られやすくなります。袴をお召しの方は、両脇から手を入れて裾を軽く持ち上げながらゆっくり座るとよいでしょう。


 □ 10. しゃがむとき


お子様の目線に合わせたり、荷物を拾ったりと、しゃがむ場面は意外と多くあります。着物のままいつも通りにしゃがむと、裾が広がったり衿元が開いたりする原因になります。

しゃがむ際は、着物の上前を少し持ち上げてから腰を下ろし、片方の足を半歩後ろに引くようにするとスムーズです。前かがみになりすぎないよう、上体をなるべく起こした状態を保つことも意識しましょう。


 □ 11. 階段・段差


階段や段差では、裾を踏んでしまうと着崩れの原因になるだけでなく、転倒の危険もあります。慌てず、ゆっくりとした動作を心がけましょう。

着物をお召しの場合は、片手で上前を少しつまんで裾を持ち上げながら上り下りしましょう。※持ち上げすぎると足首より上が見えてしまうため、ほんの少しつまむ程度で大丈夫です。

袴をお召しの場合は、左右の脇のスリットから手を入れて前側の裾をふんわりと浮かせるようにして上りましょう。下りるときは後ろ側が見えにくいため、同じくスリットから手を後ろ側に入れて裾を持ち上げながらゆっくり下りましょう。

※草履は慣れない履き物のため足元が不安定になりやすいです。一段ずつ確認しながら移動していただくと安全です。


 □ 12. お手洗い


着物でのお手洗いは、時間に余裕を持って早めに向かいましょう。広めの洋式トイレをご利用いただくと、裾や袖が汚れるリスクを減らせます。

  1. 袖が床につかないよう両袖を帯の間に挟み込む
  2. 着物・長襦袢・肌着の順に裾を一枚ずつ丁寧にまくり上げる
  3. 用を足す
  4. まくった順と逆に一枚ずつ丁寧に戻す
  5. 手を洗う(袖は帯に挟んだままにしておくと袖口が濡れません)
  6. 袖を戻し、鏡で衿元・帯まわり・裾が整っているか確認する
※袴をお召しの場合は、最初に袴の裾をまくり上げてから着物・長襦袢の順にまくります。


【 着付け後にやっておくと良いこと 】


着付けが終わったら、着付け師といっしょに最終チェックを行いましょう。
その際に、お客様の携帯電話・スマートフォンで「完成後の正しい状態」をお写真に収めておく事をおすすめしています◎
髪型も、風で崩れることもありますので、完成図を撮影しておくとチェックしやすいです。

また、【7歳】【5歳】は筥迫、末広、懐剣などの小物類もございます。
小物をセットしたまま移動すると、着崩れにつながることもございますので、
どこに入れることが正解なのかお写真に収めておき、一度外してご両親に預けておく事をおすすめしています。
現地に到着したときに、写真を見ながらセットするとスムーズです。


【 持っておくと便利なもの 】


・着物用クリップまたは洗濯バサミ
お手洗いの際に、袖や裾を一時的に留めるのに便利です。

・薄手のフェイスタオル、タオルハンカチなど
帯まわりや胸元が落ちそうなときや、少し座るときなどに使えるため、1〜2枚あると安心です。


【 撮影前に確認しておきたいこと 】


撮影が始まる前に、ご参加者様同士で着姿を確認し合いましょう。「帯がずれている気がする」「衿元が気になる」といった些細なことも、撮影前に整えておくことで、よりきれいな状態でお写真に残すことができます。

後ろ姿は自分では確認しにくいため、ご家族やご同行の方にチェックしていただくと安心です。以下の点も忘れずに確認しましょう。
  • ・ インナーの袖や裾が着物の外に見えていないか
  • ・ 髪ゴムが手首についたままになっていないか
※小さなことですが、写真に写ると意外と目立つことがあります。


【おわりに】


完璧にキープするのは難しくても、今回ご紹介したポイントを少し意識していただくだけで、大切な記念の瞬間をよりきれいな着姿で残すことができます。

せっかくの特別な一日だからこそ、ぜひ着姿にも少し気を配って、素敵な思い出を写真に残してくださいね。
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